イムノアッセイ

BNP

BNP(Brain Natriuretic Peptide)

ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド

脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は、主として心室において産生されるアミノ酸32個からなるペプチドホルモンで、まずproBNP(108残基)として合成され、分泌時に生理活性を有するBNP(32残基)とN端proBNP(76残基)に切断されます。BNPには利尿作用、ナトリウム利尿作用、血圧降下作用、アルドステロン分泌抑制作用等があり、心臓に対する負荷を低減させる働きがあります。ANPと異なり、BNPの分泌量は心室での遺伝子転写の増減により直接調節されているため、心室の負荷が直接反映されるとされており、心不全の重症度に依存して著名に増加するところから、心不全の診断、重症度把握、予後予測に広く用いられています。近年の報告からは、呼吸困難主訴の患者の心不全鑑別1,2)や急性期脳梗塞患者の心不全診断(心原性脳塞栓症の見極め)3)に有用であることも示されています。また、院内迅速測定が可能になったことから、治療時の副作用(うっ血性心不全)判定4)、手術での心機能不全のスクリーニング5)、透析患者の合併症としての心不全の診断などにも応用されています。


※本測定系において、ヘモグロビンそのものによる影響はありませんが、溶血により赤血球中の分解酵素が検体中に混入するとBNPが分解されることが知られており、溶血検体では正しいデータが得られない場合があります。溶血のない検体を試料としてください。

1) Maisel,A.S. et al., Rapid measurement of  B-type natriuretic peptide in the emergency diagnosis of heart failure. New England Journal of Medicine,347,161-167(2002)

2)  Morrison,L.K.,et al.,Utility of rapid B-natriuretic peptide assay in differentiating congestive heart failure from lung disease in patients presenting with dyspnea. JACC.,39,202-209(2002)

3)  Shibazaki,K.,et al., Plasma brain natriuretic peptidecan be a biological marker to distinguish cardioembolic stroke from other stroke types in acute ischemic stroke.,Internal Medicine,48,259-264(2009)

4)  重篤副作用疾患別対応マニュアル うっ血性心不全 平成21年5月 厚生労働省

5) 岡本洋、心不全の診断・治療におけるBNPの有用性について、第57回日本医学検査学会ランチョンセミナー小冊子


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