感染症マーカー
1.B型肝炎ウイルスマーカー
B型肝炎ウイルス(以下HBV)は1964年にBlumbergらによりAustralia抗原として発見され、その後、数多くの研究がなされてきました。今日では感染経路も明らかにされ、B型肝炎の予防法さらには治療法の開発が進められています。
HBVの一過性感染の大部分は不顕性感染を経て治癒しますが、一部は急性肝炎、劇症肝炎になります。また、持続性感染の大部分は無症候性キャリアとして経過しますが、この中から急性肝炎として発症し、慢性肝炎に移行し、さらに肝硬変、肝細胞癌へと進展する場合もあります。
HBV感染に関連した抗原・抗体系には、外被抗原であるHBs抗原、コア抗原であるHBc抗原、HBe抗原、そしてこれらに対する抗体としてHBs抗体、HBc抗体、HBe抗体が知られています。これらのHBVマーカー(HBc抗原を除く)の測定は、HBV感染の診断、病態把握、感染予防等に有用となっています。
2.C型肝炎ウイルスマーカー
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(以下HCV)によって引き起こされる疾患であり、輸血後肝炎の約90%以上を占め、高率に慢性化し、慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと移行していく頻度が高いのが特徴です。
1989年に米国のカイロン社のグループが、感染チンパンジーの血清からウイルス遺伝子の断片をクローニングしてから非A非B肝炎の主たる要因がHCVであることが確認され、さらに遺伝子構造が明らかになるにつれリコンビナントHCV抗原が作成されるようになり、各種HCV抗体検出試薬が開発されています。
特にHCVのコアタンパク、NSタンパクの両者をカクテルにした抗体検出試薬が開発されてからHCVキャリアのほとんどすべてが診断可能となっており、その結果、わが国の輸血後の急性肝炎において約90%を占めていたC型肝炎は、ほとんど見られなくなっています。
3.梅毒マーカー
梅毒は代表的な性感染症のひとつであり、梅毒トレポネーマ・パリーダム(Treponema pallidum subspecies pallidum)の感染により発症します。感染後潜伏期間を経て第1期梅毒、第2期梅毒、潜伏梅毒、と進み晩期梅毒に達します。第1期梅毒では硬性下疳という潰瘍が生じ、第2期では多くの患者に皮疹など皮膚症状や神経症状が発生します。潜伏梅毒では血清反応は陽性ですが、明らかな症状が認められなくなり、その後晩期梅毒に移行するとされています。梅毒に感染している患者が出産した場合、胎内で感染する(先天梅毒)危険性があり、また他者への感染の拡大を防ぐためにも、梅毒は的確な診断および早期の治療が必要です。
梅毒の診断法としては、菌体を直接検出する方法もありますが、梅毒血清反応検査がよく使われます。梅毒血清反応検査には、抗原にリン脂質であるカルジオリピンを用いる方法(Serologic test for syphilis=STS)と、Treponema pallidum(TP)抗原を用いTP抗体を検出する方法が一般に用いられています。前者は治療後の経過と比較的一致するので治療効果の判定に用いられますが、非特異反応による偽陽性が多いこと、治療しなくても時間の経過とともに陰性化する場合もあることから、TP抗体と組み合わせて判断することが必要です。
AIAで測定可能なマーカーの詳細については、それぞれの項目のページをご覧ください。
B型肝炎マーカー
HBsAg HBsAb HBcAb HBeAg・HBeAb
C型肝炎マーカー
HCVAb※ (販売元:栄研化学株式会社)
梅毒マーカー
TPAb
詳細な性能紹介等を記載したテクニカルレポートをご用意しております
(お問合せフォームにてご請求ください)
「お問い合わせフォーム」は、東ソー株式会社ウェブサイトにリンクします。
B型肝炎マーカー トレポネーマ抗体